世界的に人気の作家、村上春樹・Haruki MURAKAMI (1949- )
英語→日本語の翻訳家としても超一流ですね。
そんな、村上春樹作品のタイトルは英語でどんな風になるのでしょう?
(長編作品・長編小説を「クロニクル」に並べてみました)
村上春樹作品タイトルの英語・英訳
村上春樹初期三部作・英語タイトル
1979年『風の歌を聴け』 Hear The Wind Sing
1980年『1973年のピンボール』 Pinball, 1973
1982年『羊をめぐる冒険』 A Wild Sheep Chase
村上春樹中期名作群・英語タイトル
Hard-Boiled Wonderland and the End of the World
1988年『ダンス・ダンス・ダンス』 Dance Dance Dance
1992年『国境の南、太陽の西』 South of the Border, West of the Sun
1994年『ねじまき鳥クロニクル』「第2部 予言する鳥編」「第3部 鳥刺し男編」
1999年『スプートニクの恋人』 Sputnik Sweetheart
村上春樹21世紀作品群・英語タイトル
2002年『海辺のカフカ』 Kafka on the Shore
Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage
*刊行年は、日本で単行本が発売された年です
村上春樹初期三部作・英語タイトル
『風の歌を聴け』 Hear The Wind Sing
右側が日本語訳で、講談社インターナショナルから
出てます。講談社英語文庫です。
アルフレッド・バーンバウム Alfred Birnbaum
の訳で読みやすい英語です。
Hear The Wind Sing
「the」が付くwindという事は、この風は具体的に
どの風か了解事項があるって事になるんですかね?
『1973年のピンボール』 Pinball, 1973
Hear the wind sing と同じく、講談社インターナショナルから。
講談社英語文庫です。
アルフレッド・バーンバウム Alfred Birnbaum訳。
こちらは無冠詞の Pinball ですね。
『羊をめぐる冒険』 A Wild Sheep Chase
上記の画像は違いますが、
これも、講談社英語文庫あります。
こちらは、
A Wild Sheep
ですね。
「羊は色々いるけれども、その中のまあどれでもいいけど、
あの辺の一匹をめぐる冒険だよ」ってことですかね?
村上春樹中期名作群・英語タイトル
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 Hard-Boiled Wonderland and the End of the World
パラレル・ワールドを描いた名作。
専業作家になったからか、この作品から一気に密度と
量が増えた気がします。
「小説」という感じです。
この作品が新潮社から村上春樹が出した初めての
長編になるんですかね。
『ノルウェイの森』 Norwegian Wood
右二つが「講談社英語文庫」です。
ご存知、大ベストセラー。
個人的には、『ハードボイルド』に比べると、
リアルな感じで、密度が薄くなった気がしました。
『ハードボイルド』は、いわゆる異界(現実にありそうで
ない、現実の世界と表裏一体の世界)的な要素満載ですが、
『ノルウェイ』は現実感満載ですね。
それに、ものすごく読みやすいです。
『ダンス・ダンス・ダンス』 Dance Dance Dance
そのままの英訳タイトルですね。
『国境の南、太陽の西』 South of the Border, West of the Sun
個人的には、いまいちしっくりこなかった作品です。
今読んだら違うのかもしれないけど。
『ねじまき鳥クロニクル』The Wind-Up Bird Chronicle
これは、『ハードボイルド』的ないかにも小説!
という内容ですね。好きです。
どちらも新潮社ですね。同じ編集者なんでしょうか?
英語訳は、この作品はジェイ・ルービン(Jay Rubin)
です。
このジェイ・ルービンは、
というしゃれたタイトルの評論を書いてます。
とても面白いですし、学者が書いた「村上春樹もの」
では個人的に一番かもしれません。
(たいがいの学者の本はつまらないし、的外してない?
みたいな内容です)
「ねじまき鳥」→The wind-Up Bird
なんですね。ここは「the」か・・・。
『スプートニクの恋人』 Sputnik Sweetheart
これも個人的にはいまいちでしたね・・・。
Sputnik Sweetheart 無冠詞なんだ。
村上春樹21世紀作品群・英語タイトル
『海辺のカフカ』 Kafka on the Shore
21世紀に入ってからの村上春樹作品、なぜか読了できてないの
があるんですよね。この『海辺のカフカ』もその一つです。
『アフターダーク』 After Dark
さすがに、元の日本語タイトルが、カタカナですから、
英語タイトルもそのままですね。
この作品も、僕は読了できませんでしたね。
『1Q84』 1Q84
これも、日本語=英語タイトルですね。
そりゃそうですね。
『1Q84』も3分の2くらいで止まってますね・・・。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage
Tazakiなんですね、Tasakiではなくて。
『騎士団長殺し』Killing Commendatore
このタイトルは、内容を知らないと???
になりそうです。
Commendatore という単語は英語にありません。
これは、イタリア語との事です。
モーツァルトのオペラ、『ドン・ジョヴァンニ』に
出てくる、騎士長(それこそ騎士団長)として、
Commendatore
は有名です。
イタリア語で司令官的な意味を持つ、
「comandante」
から派生した単語なんですかね?
この『騎士団長殺し』、あらすじや登場人物も、
無理やり結びつければモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』
をモデルにしてるといえるような言えないような。
まとめ―村上春樹作品タイトルの英語・英訳
村上春樹小説・作品タイトルの英語訳は、
奇をてらったようなものはほとんどありませんでした。
非常に、シンプルかつ分かりやすい英語タイトルです。
村上春樹の文章のようですね。
強いて言えば、
『騎士団長殺し』Killing Commendatore
だけが、いわゆる「英語」ではありません。
「騎士団長」=モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』の
登場人物「commendatore」という前提で英語タイトルが
つけられているのでしょう。
英語的に考えると、「冠詞」のつけ方がどうしても
非ネイティブには気になります。
まあ、「ある程度適当に付けてますよ」ってこと
なのかもしれませんが。